熊木建築事務所ブログ

敷地の余白

こんにちは。設計・現場監督の植木です。

家造りを進めていく中で欠かせないことの一つにプランニング(配置図・平面図)があります。

平面図(内部の間取り)はチラシなどでも一度は目にしたことがあるとは思いますが、配置図(外部とのつながり)を意識したことはあるでしょうか?

どちらかというと”外部”より”内部”が重要で、どれだけ要望を間取りに組み込めるかということに苦心する方が多いかと思います。

しかし、実は設計していく中で、”内部”の空間を良くする為には”外部”を考えることが近道だったりします。

今回は一見、勿体無いようにも見える敷地の余白についてご紹介したいと思います。

 

■O邸

49坪の敷地に40坪ほどの建物。

法律的にはもう少し建物を大きくすることも出来ますが、6帖ほどの小さな庭をあえて設けました。

ダイニング・キッチンの拠り所となってくれます。

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庭に向いた写真が無くてすみません...。この食卓の隣に庭があります。

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予算とのバランスもありますが、平面図上では無駄に見られそうな深いアプローチも来客者や帰宅した家族を迎えるのに一役買っています。

 

■N邸

77坪の敷地に34坪ほどの建物。

広い敷地は建物の配置計画が重要です。

N邸は周辺の状況を考えて、あえて南側ではなく東側に庭をとり、大きな開口を向けています。

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周辺には工場や会社が多い場所。周りの雰囲気を体感してみて、家っぽくというよりモダンに見えるようなイメージをしました。

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テラス自体をコンクリート平板の土間にしたのは、テラスを”外部”扱いにしたかった為。

ウッドデッキに立つより”外部”にいるという感覚が強くなってくれるといいなぁと思って土間テラスにしました。

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サッシの奥に見える樹木はアプローチを歩く来客者との目隠し役になるように配置しています。

常緑樹で1年通して葉っぱが落ちにくい木なので、このまま成長してくれると、より立派な目隠しとなってくれると思います。

 

写真では分りにくいですが、敷地の余白を多く残しているので外に置ける物置スペースなども確保しています。

 

■モデルハウス

41坪の敷地に31坪の建物。

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庭自体は3帖ほどしかありませんが、日常の慌ただしいキッチンやダイニングからでも緑が見えるように眺める庭としています。

生活を豊かにするのに十分に活躍してくれます。

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リビングのソファからも緑が見えます。

3帖あれば収納に...。と、思う前に少し立ち止まってみて下さい。(笑)

 

■N邸アプローチ

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季節が良くなったの頃、植栽と一緒にアプローチを施工しました。

アプローチが整うと雰囲気がグッと良くなる。

そのうち、手前にももう1本植えられると奥行きが出来てもっと良くなりそうです。

 

敷地の中の余白は平面図だけを見ている時には気付きにくい魅力が隠されています。

間取りだけを考えていると、どうしても生活の効率や部屋の広さなどに目が行きがちだと思います。

しかし、生活の中で ”豊かさ” や ”楽しさ” を考えた時には無駄に思えるようなスペースも実は贅沢で、生活の拠り所になってくれる可能性があるかもしれないですね。

家の計画はもちろん大切ですが、敷地全体をデザインしなくてはプランニングとは言えません。

”余白” の部分が、生活の ”余裕” になってくれると思うと、気持ちが少し楽になってくるかもしれません。

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